2018年5月9日水曜日

「フランス語圏の文学・芸術における女性の表象研究会」

 では、下記の通り第51回研究会を開催しました。

   
              第51回研究会
   
日時  55日(土)10時~12時  入場無料 使用言語・日本語
場所  東京ウイメンズプラザ・第二会議室B
   (東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅 B2出口から徒歩7分
              
司会 吉川佳英子

発表・質疑応答

10001050  西尾治子
「性の表象」 日仏比較 ー  フランス19世紀および江戸時代 の「性を装う人々 」ー
「性の表象」 日仏比較 ー 断章 「フランス19世紀および江戸時代 における「性を装う人々」 ー
概要
西尾の発表では、おもに、フランス19世紀および江戸時代にセクシュアルマイノリティとして「ジェンダーアイデンティティ・トラブル」(性同一性・性自認の問題)に直面した人々の実例を取り上げます。女か男か、FtMか、MtFなのか、どちらでもない性なのか? 当時の医者や肉親、法律や世論は彼らをどのように処遇したのか、権力側に徹底的に排斥され差別された異性装者と暗黙のうちに容認されたトランスヴェスタイトの違いはどこにあったのか、これらの問題を、最近目にする、LGBT、トランスジェンダー、トランスセクシュアル、パンセクシュアル、といった言葉の定義について言及しつつ、日仏比較の視座から論じます。参考とするのは、Gabrielle Houbre、関民子、長島淳子等の実証研究およびジョルジュ・サンドの作品です。

11001150      押田千明
ーフランス映画におけるマリー・アントワネット表象の一例 ―
  『マリー・アントワネットに別れをつげて Les adieux à la reine 』(2012年)より―
概要
7月の会員研究発表会では、フランス、日本、アメリカの映画において、マリー・アントワネットがどのように表象されているかについて比較し、論じる予定です。
 「王制を打倒し、国王夫妻をギロチンにかけた歴史の上に成り立つ共和国フランスにおいては、日本やアメリカのようにマリー・アントワネットを「悲劇のプリンセス」として表象する傾向にない」という仮説のもとに、今回はフランス映画におけるマリー・アントワネット表象の一例として、『マリー・アントワネットに別れをつげて』に絞って論じる予定です。

 この作品の特徴としては、宮殿に仕える使用人の視点で描かれていること、レズビアン映画であることなどがあげられます。そして、使用人に犠牲を強いるような女、しかもレズビアンとしてマリー・アントワネットを描写した映画に対する評価、批評から、先述の仮説に適うものという結論に導きたいと思っております。